私は偏食だ。
詳しく説明すると、同じ食べ物なのに食べるたびに味が違うものが苦手だ。
もし今回の食事で嫌な味や歯ごたえがあったらどうしようと不安で、手がつけられなくなる。
つまり、野菜・果物・魚・肉…といった、加工で均一にされていないものは、濃淡の差はあっても全てなんとなく苦手だ。
そんなありさまだから、もちろん常に栄養は偏っている。
そこで、多少なりとも足しになればという気持ちで、鉄分の含まれているミロや、ビタミンの入ったパウチゼリーを取り入れるようにしてみた。
実家ではこういうことはできなかった。
野菜を食べて天然のビタミンやミネラルを摂るのが一番身体にいいから、人工的なもので妥協すべきでないと言われていた。
両親の考えによれば、漠然と理想だと思い込んだものを全力で実現しなければならず、代替案や次善の策は失敗より悪い。
私はやりたくないことはできないし、できることで目標にたどりつく道を考える性質なので、気づいてはいなかったけれど、実家の考え方とはけっこうなミスマッチだった。
一人暮らしをはじめてから、まるで正気に戻ったかのように、生活の中の妥協できる点に気づいて、だいぶ楽になっている。
すり合わせをして生まれるわけではないから、生まれた家の常識が、自分の性質と違うこともある。
ビタミン入りのパウチゼリーがなくなったので、明日ドラッグストアで買ってこようと思う。